新型肺炎が加速する不動産市場の変化



    本日、2020年2月16日現在、国内での新型肺炎の拡大が非常に心配されています。


    これにともなって、企業もいろいろな対策を行っていますが、特に多いのがテレワークの推進です。


    • ドワンゴが2月17日から1000人を在宅勤務に

    • GMOインターネットでは1月27日から国内従業員の9割の約4000人が在宅勤務

    • 日本たばこ産業(JT)が1月27日付で国内の全従業員7500人にテレワークを積極活用するよう通知

    • NTTグループが2月17日から順次、従業員に対してテレワークの実施を推奨

    など、IT系が中心ですが、テレワークの推奨が相当に強まっています。


    ここ数年、日本国内の不動産市場はかなりの強気で推移してきており、その中心は、ホテルなど宿泊施設とオフィスでした。


    ホテルについては、強気の土地購入と建設が続いていますが、訪日外国人が増えおり、今後も増加する見通しが背景のため、しっかりとした根拠があると言えます。


    オフィスについても、現状の空室率が約2%という低水準の中、港区・千代田区・中央区の都心3区を中心に、大規模な開発が多くあり、オフィスの床面積は増加を続けています。


    しかしながら、2015年10月に東京都が発表した東京都就業者数予測では、東京区部の昼間就業者数は、2010年の664.1万人から減少傾向で推移して、2020年は653.1万人、2035年には610.9万人に減少する見通しになっています。


    人口などの予測の的中率は相当高いと言われており、そこをベースにしている就業者数の推移の正確性も、かなり高いと思われますから、中長期的にオフィスは余ってくることがほぼ確実と予想されます。


    ここ数年、空室率が低下してきたのも事実ですが、これは大きな需要の波というよりも、それまでの景気低迷期に抑えていた需要を吐き出しているという可能性が高く、その場合には、あるところで需要の増加がストップあるいは減少することが予想されます。


    そのような中で、テレワークという新しい働き方が出てきました。


    これまでは、テレワークを実施しても、完全に出社しないようにはなかなかできず、オフィスの賃貸面積を減らす効果は乏しいと思われてきました。


    しかし、テレワークの試みが増える中で、どうも出社しなくてもあまり問題は生じないようだ、という業種・職種があることがわかってきており、「原則出社しない」という方針の会社もでてきています。


    このようになると、オフィスの賃貸面積にはかなりの影響がでてきます。


    先日、私が中小企業診断士の方から聞いた事例では、従業員が約50名のIT企業ですが、テレワークを全面的に導入していることで、オフィスの賃料はわずか12万円とのことでした。


    この会社は、もともとは渋谷にオフィスを構えていたそうですが、テレワーク導入にともなって、社員が出社しにくいように、川崎市の少し不便な駅に移転したそうです。


    なお、一般的には、従業員1名あたり2〜3坪のオフィス面積が必要ですから、50名のオフィスであれば100〜150坪の面積が必要で、その賃料は、東京の一等地なら月500万円程になります。


    通勤の交通費やオフィスの光熱費、ある程度の規模のオフィスであれば防火管理者なども設置する必要があるなど、オフィスの維持に関係して生じる費用や時間の負担はかなり高いものです。


    その負担がなくても事業に支障が無いと分かれば、オフィスの縮小・移転は相当に大きな流れになる可能性があります。


    今年は、オリンピックもあり、その開催期間中には、現在よりもさらに大規模なテレワークが実施される見込みです。


    新型肺炎とオリンピックの2つによって、東京のオフィスマーケットが大きく変わる可能性がありそうです。

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