廃業支援型バイアウト


本日、公益社団法人 日本証券アナリスト協会のプライベートバンカーのための補完セミナー「新しい事業承継スキーム 廃業支援型バイアウトとは」に参加してきました。

会場は、東京証券取引所(写真)の向かい、日本証券アナリスト協会のセミナーホールです。


講師は、新生銀行 事業承継金融部長の桝井正俊さんです。

事業承継と言った場合、基本的には親族または非親族の後継者を決めて、経営を引き継ぐことを指しますが、事業売却を含んで、より広義の意味で用いる場合もあります。

今回は、投資家側からの話でしたから、バイアウト、つまり事業購入ですが、企業オーナーの立場から言えば事業売却になりますので、後者(広義)の事業承継のお話でした。

具体的には、通常では事業売却が難しい企業を、新生銀行さんを含めた投資家が買い手になって購入し、1〜2年程度の期間で廃業または次の事業売却を行う、という手法です。

B/Sとしては資産超過だとしても、損益が赤字やトントンなど、収益性が低い事業・会社は、成長を求めている企業が買い手になる一般的な企業売買のマーケットでは、買い手が見つからないか、非常に低い価格で評価されます。

経営者が高齢になっていて後継者がいない場合、事業売却ができなければ、(A) 廃業するか、(B) 嫌々ながら継続するか、の2つしか方法がありません。

経営者は年齢的に仕事を続けることが厳しくなってきていますから、嫌々ながら継続すると、多くの場合、良くない結果、つまり倒産に至る可能性が高くなります。

それであれば、自主的に廃業する方が望ましいと考えられますが、経営者自身が廃業を行うことにはいくつかの難しさがあります。

<廃業手続きの負担>

廃業を行うためには、全てのものを整理・処分する必要があり、専門的なノウハウ、手間、時間が必要。難易度が高く、負担が重い。

<税負担>

廃業して会社を清算する場合、株主が受け取る残余財産は「みなし配当」になり、総合課税で最大で税率50%ほどの所得税が課される。一方、株式の譲渡の場合、分離課税で税率はおよそ20%と課税額が大きく異なる。

つまり、経営者自身による廃業は、難易度が高くて手元に残るお金も少ない、とても厳しいもので、このまま事業を続けるともっと状況が悪くなるから嫌だけど頑張ってやろう、という後ろ向きの動機に基づきます。

それであれば、廃業に関する専門的なノウハウやネットワークを持った誰かが、オーナー経営者さんから会社の株式を買い取り、代わりに処理したらいいのではないか、という考えです。

専門家が行えば、より早く、上手く清算が行えますから、最後に残る資産が増える可能性があります。また、オーナーが支払いを受ける額は少なくなるかもしれませんが、税金の負担の差を考えれば、逆に手取りが増えるケースが多いようです。

実際の事例のお話によれば、買い取った会社の整理を進めていく過程で、M&Aを検討している企業が購入を検討しやすい状態になり、次の新しい買い手が見つかることもあるそうです。

手続きの大変さやコストを考えると、ある程度、企業規模や資産超過の額が大きくないと採算があわないかもしれませんが、このような形で事業が有効に生かされていくケースが増えるのは良いですね。


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