不動産は、地域ごとに市場が異なるため、売却では地域の特徴を適切に理解しておくことが有効です。

ここでは、当社のオフィスがあり、取扱い件数の多い世田谷区で土地や一戸建て住宅・マンションなどの不動産の売却を成功させる方法についてご説明します。

世田谷区の不動産市場の特徴

よく知られている通り、世田谷区は、商業・ビジネスの中心である都心部へのアクセスの良い、利便性と落ち着いた住環境を兼ね備えた、日本を代表する住宅エリアです。世田谷区には、年収や教育水準の高い層が多く、地価が高いことでも知られています。

人口は東京23区で最多、面積は58.05平方キロメートルと大田区に次いで2番目に広い区です。そのため、不動産の流通量は多い一方、地域によって人気や地価に大きな差があります。

世田谷区の地価

地価公示 区市町村別用途別平均価格表(令和2年)によれば、23区で人口の多い上位5区の住宅地地価は以下の通りです。

  1. 世田谷区 坪210.3万円
  2. 大田区 坪174.6万円
  3. 練馬区 坪130.4万円
  4. 江戸川区 坪120.1万円
  5. 足立区 坪103.9万円

世田谷区は、23区の主要な住宅区の中で、最も地価が高いことが分かります。

土地の市場

土地の場合、購入者は、自分で家を建てます。注文住宅は、建売住宅に比べると建物の費用が2倍以上することも多く、買い手には相応の資金力が必要ですが、世田谷区には、資金力のある層が多く、他のエリアに比較して土地の人気は高いと言えます。

2件以上の家を建てることのできる面積が広い土地の売却では、建売分譲を行う不動産会社が買主になることが多いですが、こちらも人気があり、複数の買い手候補の中から条件の良い購入者を選定して売却するのが一般的です。

一戸建て住宅・マンションの市場

世帯数に対するマンション戸数の割合は22.35%(2013年*1)です。都心3区(千代田・中央区・港区)では約80%ですから、世田谷区は戸建て住宅が中心のエリアと言えます。人口が多いため、マンションの戸数も非常に多く、一戸建て住宅・マンションのどちらもしっかりとした市場があります。(*1:Kantei eye/(株)東京カンテイ)

世田谷区には、もともと広い敷地の住宅や農地(生産緑地)が多く、その土地を狭く区切って3階建て等の家を建てる比較的安価な新築の建売住宅が増えています。そのため、中古マンション、中古戸建の売却では、建売住宅との競合が生じることが多くなっています。

なお、築年数の古い戸建て住宅の場合には、土地として売却する方が価格が高いこともあります。

世田谷区の人口推移

不動産の市況を考えるにあたっては、人口動態が重要です。特に世田谷区は、東京23区でも代表的な住宅地ですから、人口の推移が最も重要な要素と言えます。

現在の人口

令和2年6月1日現在、東京都の人口は13,999,568人、23区全体では9,693,701人で、世田谷区は23区で最大の人口を擁しています。

<区の人口ランキング>

  1. 世田谷区 944,841人
  2. 練馬区 745,839人
  3. 大田区 743,607人
  4. 江戸川区 695,379人
  5. 足立区 685,274人

世田谷区は、2位以下の区よりも3割近く人口が多く、23区の中では群を抜いて大きな区と言えます。 

将来の人口予測

世田谷区将来人口推計(平成29年7月)によれば、世田谷区の2042年の人口は1,087,275人となる予想で、2018年から2042年までの25年間に194,740人、率にして約21.8%の人口増が見込まれています。

人口のピークは、2042年以降となる見込みのため、当面の間、世田谷区内で住宅のニーズが減少することは考えにくいでしょう。

新型コロナウィルスによる不動産市場の変化

2020年3月に本格化した新型コロナウィルスの感染拡大は、不動産市場に構造的な変化をもたらしました。

不動産市場に特に大きな影響があった以下の2点について、世田谷区の不動産市場への影響を考えます。

  • 飲食業・観光業の縮小
  • テレワークの進展

飲食業・観光業の縮小

不動産市場では、飲食業や宿泊業に向いた繁華性の高い立地は希少性が高く、非常に価値が高いとされていましたが、新型コロナウィルスの影響で、大きくその価値が変わりました。

世田谷区には、下北沢や三軒茶屋など人気のある繁華街もありますが、それほど規模が大きくなく、住宅宿泊事業いわゆる民泊の規制が厳しいなど観光業への依存度も低いことから、影響は比較的軽微と考えられます。

テレワークの進展

テレワークの進展によって、不動産の選ばれ方が変わってきています。

近年は、職住近接の大きな流れがあり、住環境や広さなどよりも、都心部へのアクセス(特に通勤時間)が重視される傾向がありました。

しかし、テレワークの進展により、通勤の負担が減少したことから、都心部へのアクセスよりも、家の広さや住環境が重視されるようになってきました。

世田谷区は、住宅環境が優れているのはもちろんのこと、都心部に比べると大きめの家が多く、どちらの条件にも合致しています。また、これまでは、満員電車などでの都心への通勤、空港・新幹線へのアクセスの悪さが選考においてマイナスになっていたこともあるため、テレワークの進展は、世田谷区の不動産市場においては、価格の上昇要因になりそうです。

世田谷区の不動産売却成功の指針

世田谷区の不動産市況は、人口推移やコロナウィルス以降の需要変化を考えても、今後も堅調である可能性が高いと言えます。したがって、適切な方法をとれば、きちんとした条件での売却が可能ですし、相場よりも高く売却できることもあります。

土地の売却を成功させるには

土地は、一戸建て住宅やマンションと異なり、売買時点では、実際に住む建物が無いので、買主がイメージを作ることが難しい、という特徴があります。また、売買後に家を建てる必要があるため、金銭面および時間・手間の面で、買主の負担が重い傾向があります。

したがって、物件を、買主のイメージを阻害しないように、また購入後の負担が軽くなるようにすると、売却が成功しやすくなります。例えば、土地に古家がある場合には、売却前に解体して更地にしておくと、買主は新居のイメージがしやすくなります。また、買主が解体の手間・時間・費用を考えなくて済むので、購入の検討がスムーズに進みやすくなります。

所有者ご自身が気付いていないことも多いのですが、実は土地の境界や私道の取り扱いなどで問題を抱えてしまっている土地も少なくありません。売却にあたっては事前調査が必要ですし、問題が見つかった時には、その担当者にそのまま解決を依頼することになりますので、予めしっかり対応できる実力のある担当者を選んで依頼する必要があります。

また、土地の面積、形状、立地、古家の状態や周辺環境によっては、個人のお客様が買いにくい物件もあり、そのような場合、個人のお客様よりも建売分譲を行う不動産会社の方が、高い価格で購入できます。

しかし、土地を購入する不動産会社は、非常にたくさんあり、会社の特徴やタイミングによって、購入価格に大きな差が生じます。物件にあった不動産会社に購入を打診しなければ、好条件での売却は難しくなります。

世田谷区は、住環境を重視していることから、都心部に比べて建築の規制が厳しく、敷地の分割や緑地の確保等について細かい制限があります。物件の特徴や建築の規制に応じて、最も高く評価してくれる不動産会社を的確に選び、アプローチを行うことが必要です。

逆説的ですが、建物が無いため土地の売却は難易度が高いと言えます。土地の売却の経験、知識が豊富な担当者を見つけ、二人三脚で取り組むことが、売却成功の近道となります。

一戸建て住宅・マンションの売却を成功させるには

世田谷区では、流通する物件が多いことから、住まいの売却では競合が多くなります。

そのため、物件の特徴や良さをしっかりと出して、適切な購入層にアピールすることが必要です。不動産の購入にあたっては、検討者は必ず内見を行いますが、この点がおろそかになると、買い手を内見へ誘導することができません。

また、内見時の第一印象も非常に重要です。買主が個人のお客様の場合には、購入判断において第一印象が大きな重要性を持ちます。

非常に価格が安いなど特別な理由がなければ、見学者が第一印象が悪い物件を購入する可能性は無いと考えて良いでしょう。第一印象アップには、費用対効果(コストパフォーマンス)の点から、ハウスクリーニングの利用がおすすめです。

世田谷区の買い手は、年収や教育水準、社会的地位が高い方が多く、堅実な傾向があります。単に見た目や上辺を取り繕うだけでは不十分なことも多いので、建物の築年数や状態によって、部分的なリフォーム・リノベーションも検討する必要があります。

リフォームの費用がかかり過ぎる場合には、実際にリフォームをする必要はなく、取得した見積書を提示するだけでも、購入者の判断を前向きにすることができます。

リフォームの検討は、業者や工法の選定、コストの妥当性の確認等の点から、全てを個人で行うのは非常に困難です。したがって、リフォームと不動産売却の両方の知識を持った担当者を探し、しっかり相談するのが成功への近道と言えます。

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